
—装具のフォローアップをサポートする 「デジタル装具手帳」—
私たちはこのたび、装具利用者のフォローアップを支援するアプリ「デジタル装具手帳」をリリースしました。本アプリは、装具の管理を円滑にし、利用者が安心・安全に生活できる環境を整えるためのiOS専用アプリです。有限会社テックワークスと北海道科学大学が共同研究を行い、開発に至りました。

装具:身体の機能を補助または支援するための医療用具です。特に下肢装具は、歩行に支障をきたす方が使用することが多く、QOL(日常生活の質)を向上させる重要な役割を果たします。
フォローアップ:装具を適切に使用し続けるために行う、継続的な管理やメンテナンスのことです。装具の状態を定期的にチェックし、異常や劣化を早期に発見することで、利用者の安全を確保します。
「デジタル装具手帳」の特長
本アプリの目的は、利用者自身が「そろそろ装具の点検が必要かもしれない」と気づける環境を整えることです。日々の歩行の変化に無自覚でいると、少しずつ歩行状態が悪化し、気づいたときには大きな問題へと発展してしまいます。これを防ぐために、アプリを活用して早期のフォローアップを促します。本アプリには、装具の管理をサポートするさまざまな機能を搭載しています。

- 装具の管理とメンテナンス履歴の記録
- これまで装具の管理は、利用者本人に委ねられ、適切なメンテナンスが行われず放置されることも多い状況でした。本アプリでは、装具ごとのメンテナンス履歴を記録し、適切なタイミングでのフォローを促します。
- 歩行チェック・歩行分析機能
- 装具を装着した状態での日々の歩行データを記録し、歩行の変化を分析します。歩行の変化を把握することで、装具の劣化やメンテナンスの必要性を早期に察知できます。
- スティックピクチャーによる可視化
- 歩行の様子を動画で撮影し、骨の動きをスティックピクチャーとして可視化。さらに、そのデータを分析することで、歩幅や膝関節、腰の傾きなどを数値化し、詳細な歩行評価が可能になります。
- 片手操作に対応したデザイン
- 利用者の中には片手が不自由な方も多いため、片手で直感的に操作できるよう工夫しています。
開発の経緯とアプローチ
弊社の社員である弓野は、もともと北海道科学大学の保健医療学部理学療法学科に在籍。その後、デジタル技術とデザインに関心を持ち、未来デザイン学部メディアデザイン学科に転学科しました。そこで非常勤講師として授業を担当していた弊社社長の鈴木と出会い、アルバイトとして関わり始め、卒業後に社員となって現在に至ります
一方、理学療法学科時代の担任だった春名弘一先生とは転学科後も交流があり、春名先生から「アプリを作れるの?」と尋ねられたところから、生活期の装具ユーザーに関するフォローアップ体制の不備が指摘され、近年、装具難民問題と呼ばれる大きな社会課題となっている という話を伺いました、その解決にデジタルツールの可能性を感じた弓野は、「一緒にアプリを作りましょう!」と提案しました。その日の午後には、春名先生に鈴木を紹介し、テックワークスとの共同研究がスタート。

具体的なアプリ設計のベースとなったのは、装具難民問題の第一人者である西宮協立病院リハビリテーション科の勝谷将史先生の知見です。勝谷先生は、この問題が起こる原因を整理されていました。弓野たちはそれぞれの課題に対して「この問題には、こういう機能が必要だ」と整理し、アプリに機能として落とし込んでいきました。
ただし、1つだけアプリの機能として実装できないものがありました。それについては、大学生活の最後に『装具難民問題について考えよう』というイベントを開催し、アプローチを試みました。イベントの参加者からは、アプリ公開後に「そういえば参加したな、このアプリになったんだ」とSNSで反応があり、今もつながっていることを実感しています。

研究活動を始めた 2021年2月 から、ちょうど 4年。
このアプリの公開はゴールではなく、新たなスタートです。
目指すのは 「装具難民ゼロ社会」。

これまで、北海道科学大学保健医療学部理学療法学科、義肢装具学科の学生 や 実証実験にご協力いただいた皆様 とともに研究を重ねてきました。

今後は、より多くの装具利用者に使っていただき、専門家・病院・企業と連携しながら、
さらに より良いツールへと進化 させていきたいと考えています。

デジタル装具手帳WEBサイトはこちら:https://sougu.jp/
アプリインストールはこちら:https://apps.apple.com/jp/app/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E8%A3%85%E5%85%B7%E6%89%8B%E5%B8%B3/id6741381508